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PROJECT STORY
プロジェクトストーリー
Episode 02
多孔質カーボンでウェブを触れずに搬送
「エアベアリングロール」
※フィルムのように薄くてシート状のものを「ウェブ」と呼びます。
カーボンに秘められた無限の可能性を求めて
エアベアリングロールは透過性を調整した多孔質カーボンで作られた製品です。多孔質カーボンからエアを出すことにより、ウェブを浮上させて搬送するロールです。ウェブとロールが接触しないため、摩耗や摩擦の発生を防ぐことができ、搬送によって生じるシワ・キズの発生を大幅に下げることができます。
 安定した浮上の実現により、生産のロスを防ぐだけでなく、生産スピードの向上にも貢献できる製品を作り上げました。その開発秘話に迫ります。

PROJECT MEMBER

製品開発K.Fさん
入社後、製品開発部門に配属。
メカニカルシールやポーラスカーボン製品の開発全体に携わる。
材料開発T.Iさん
入社後、材料開発部門に配属。
当社製品で使用されるカーボンの素材開発に携わる。
営業N.Hさん
入社後、営業部門に配属。
当社製品の営業活動を通して新しい需要を取り込んでいる。
営業T.Nさん
入社後、設計部門に配属され、その後営業部門に異動。
設計者としての経験を活かして提案を行っている。
カーボンの優れた特性を活かして
新たな発展の道を開く
Q1
エアベアリングロールのアイデアはどのように生まれたのですか?
また、新規プロジェクトを立ち上げるために
各部門で取り組んだことをおしえてください。
液晶の製造方法が枚葉からロールtoロールに移行する技術的転換点に差し掛かり、そこへポーラスカーボンの浮上搬送技術を当てはめると、ロール形状になりました。
研究開発部では、将来的な大径化、長尺化、量産化を見込んで、素材開発、製品開発、実験装置開発を受け持ちました。これまで世の中になかった製品なので、製品の機能を正しく伝える技術資料をつくりましたし、製品の安全性を確かめる実験を繰り返しました。
お客様からの引き合いをもとに既存の平板の製造技術を生かしてリング状のカーボンを開発しました。
エアベアリングロールは浮上搬送ロールであり、カーボンの強度と透過性のバランスが重要なため、各原料がどのように影響するのかを見極める基礎実験に重点を置いて取り組みました。
お客様の要望に応える形で製品を開発しました。元々、平面で製品を使用していたお客様から、今度はフィルムを非接触で搬送したいという要望がありました。そのため、ロール形状の製品を開発するために試行錯誤を重ね、製品化することができました。
製品開発部門と設計担当者は新製品の開発に集中しました。製品が完成すると同時に試験機も製作し、性能データを収集しました。そのデータを元に営業部門が展示会で新製品を発表し、顧客との接点を築き、PR活動を進めました。
エアベアリングロールが誕生する前はガラスの浮上搬送用等、平面状のワークを扱う製品が主でした。ガラスは年々薄くなっていく中で、フィルム状のワークを取り扱うロールの要望があり開発に着手しました。
設計、開発部門は大学の協力を得ながら基礎技術の構築に取り組みました。
営業はロール状の製品要望が有ったお客様からニーズの聞き取りを行い、製品化の必要機能について開発へ展開していきました。
Q2
エアベアリングロールの開発を進めていくにあたり、
どのような課題がありましたか?
また、どのようにして解決されましたか?
これまで接点のなかった業界に新製品を売り込むとなると、お客様の課題を解決できることを証明しないと、お客さんは採用したくてもできません。そこで、実演できる実験装置を開発して、お客さんのフィルムを持ち込んでもらい、一緒に課題を解決していく方法を取りました。
お客様が必要としている性能のカーボンを作るために、カーボン素材の製造工程を調整して様々なカーボンを作り、最適な製造条件を見つけ出しました。
Q3
お客様の要求に応えるために、
次々にチャレンジしていく姿勢はどのようなところから
生まれていると思いますか?
より優れた製品づくりが、豊かな社会につながっていくと考えています。
製品が良くなると、お客様の次の要求を引き出し、自然と次々とチャレンジが生まれます。
この上昇スパイラルの中で活動しているのだと思います。
当社は素材から開発しているため、バリエーションを作れるのが魅力であり、より適した素材を提供していくことができます。
お客様からの要求をすべて実現することは難しいですが、関係部門で集まって意見を出し合い、社内でできる最大限の提案をしています。
チームのチャレンジしていく姿勢は炭素研究所の遺伝子に基づいたカーボン製品で社会に貢献したいという意欲を持っているからだと思います。お客様の問題解決に団結して取り組んでいます。また、新たな分野に積極的に参入し、チーム全体で挑戦していく姿勢も持っています。
根底にあるのは“タンケンすれば成功する”タンケンの社風だと思います。
PCP製品も2005年に新製品として開発を着手し、失敗と成功を繰り返しながら一歩一歩進んできました。エアベアリングロールも同様に進んできていると思います。
Q4
製品に対するお客様の反応は
販売初期と比較して現在はどうでしょうか。
最初の販売段階では製品の知名度が非常に低く、まったく知られていない状況でした。しかし、丁寧なアプローチと展示会への積極的な参加により、徐々にお客様に認知されるようになりました。さらに、実績を積み重ね、製造ラインでの採用も始まっています。
現在は一定の知名度も得られ、採用実績も増えてきていると実感しています。
発売当初は認知度も低く、性能の良さもなかなか理解してもらえない状況でしたが、デモ機によるPR等を繰り返し、評価いただけるようになったと思います。
Q5
これからのタンケンを背負っていく
新入社員に向けて。
求めるものはただひとつ、突破力です。
部署柄、仮説を立てたら本当にやってのけることが大切です。
どの開発も同じだと思いますが、素材の開発も完了までに時間を要すことがあります。
難しいことも多いですが、材料への興味を持ち続け、「夢あれば道は開ける」の精神で気概を持って取り組んでくれたらうれしいです。
とても変化が速い時代です。変化する状況に柔軟に対応し、新しい課題に素早く適応できるように成長してもらいたいです。
良く言われる言葉ですが“停滞は退化”です。
一歩ずつ、前を向いて進んでいってほしいです。
開発年表
Timeline

株式会社タンケンシールセーコウ

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